will
砒野
|
1 |
♪
|
2 |
私は余命宣告を受けた訳ではない
また自死の決意を固めたというのでもない
私にはこの遺書がいつ公になるか全く分からない
寧ろそんな事はまずないだろうと高をくくっている始末さ
|
3 |
書いている時の気楽さからして
これは遺書と名が付いた世界のどの著述の中でも
かなりふざけた部類に入る事はなんとなく想像ができるね
何故私はこんな物を書き始めたのか
|
4 |
♪
|
5 |
魔が差したという言葉は決して適当ではないだろう
こんな好奇心の何処に裁かれるべき悪を見出すの
そう問うと誰かがすかさず死を弄ぶなと批判する
そんな人も世界には少なからず居る事は知っているよ
|
6 |
しかし私は既に直感的に悟っている
彼らと私との間には恐ろしく深い隔たりがあり
決して分かり合える日は来ないのだという事を
その溝を埋めんとするどんな努力も無駄だという事を
|
7 |
普段は何事も話し合いで解決できると口先では言うが
私は本当はそんな事は毛ほども思っていない
あれ何の話だっけ
ああそうだ分かった私はメンヘラなんだな
|
8 |
♪
|
9 |
昔の私ならこんなどうしようもなく後ろ向きになる度に
苦しい自己嫌悪に襲われて小さく縮こまって震えてた
でも数多の呵責を経るにつれて少しずつ
その不快感は陶酔へと変わっていったんだ
|
10 |
挙句私はこんな有様になってしまったけど
それでも私は己を愛し続けている
あらゆる厭悪の感情は結局自己陶酔に帰結するのさ
つまる所それは一種の自己愛なんだよ
|
11 |
そしてこの歌も自己愛の表現方法の一つだ
そもそも遺書という存在自体が自己陶酔の権化だからさ
私はこの歌をこれから何度も何度も聴き返して
殆ど自慰みたいな自己陶酔の感傷に浸るのだろう
|
12 |
♪
|