真冬の侵略者
霞上
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1 |
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2 |
それは大きな音を立てて
静かだった部屋を蹂躙していく
冷え切った俺の部屋は
コイツの出現によって一変していた
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3 |
いつも、この部屋を満たしていたのは
俺の小さな吐息だけだった
俺の小さなその部屋を
コイツは我が物顔で侵していく
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4 |
コイツの吐き出す熱い吐息で
俺の部屋はコイツの領域になっていった
この、あまり大きいとは言えない俺の部屋は
余すところなくコイツの領域になっていくのだ
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5 |
ああ、俺の部屋がまた少し変貌していく
ソイツが現れた時から
寒々とした空気が満たした空虚な部屋に
まるで灯がともるように温かみが戻ってく
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6 |
ああ、このまま俺の部屋はコイツに蹂躙されて
俺の領域とコイツの領域が完全に混じってしまうのか
コイツは今も自らの意味を示すように
淡々と息を吐き続けている
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7 |
俺は、だが俺は、コイツの侵攻を
阻害することは出来ないんだ
なぜならそれは、俺が望んだことだから
俺が招いたことなんだから
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8 |
今更、それを元に戻すことはしない
俺は、大きな音を立てるソイツに近づく
ゴーっと言う大きな音を立てて
部屋を侵食するそれに手をかざして
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9 |
ああ、温かいって素晴らしい
これでお部屋もポッカポカ
ああ、温かいって素晴らしい
冬はやっぱり石油ストーブ
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10 |
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