783340 / らいちゃん
らいちゃんの耳成芳一琵琶の弾き語りのうまい
盲目の法師がいた
それは
芳一である
夏のある夜
みしらぬ武士がきた
源平合戦を吟じてほしい
ある場所へと案内された
芳一が源平合戦を吟じた
人々は感に堪えず嘆き悲しんだ
それは
毎夜毎夜続いた
和尚は怪しんだ
芳一が
鬼火の燃える墓地で
琵琶を弾いている
芳一が平家の亡霊に
魅入られている
なんとかしなくては
和尚は考えた
芳一の体に般若心経を書いた
誰が来ても声を出すな
耳にかくのを忘れた
その夜も亡霊はきた
芳一の姿がない
芳一はどこだ
耳だけが宙に浮いている
平家の亡霊はその耳だけを持ち帰った
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