707980 / 星野☆明美 / こと
雨降り惑星ガラス張りの温室。
僕はサボテンの花を眺めながら、
砂漠では小雨で生きていける
この植物を想った。
温室の外はふりそぼる雨。
僕は多湿の国に生まれた。
雨降り惑星、今日も明日も明後日も。
「ジメジメしたのは嫌いだわ」
と彼女は言っていた。
そして僕を置いて
遠い国へ行ってしまった。
サボテンを見ると彼女を思い出す。
カラッとした性格で、大胆な行動力。
それらはどれも僕に欠けていて、
それ故に愛しい。
今さら変われない。
変わりたくはない。
それでも恋焦がれる熱砂の丘。
ないものねだり、
しょせん持てたとしても手に余すだろう。
僕はこの雨降り惑星で生きていくしかない。
この温室の中に太陽と砂を守って。
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