622461 / 梟
キキ僕の手のひらには意味もなく
砂の雪が積もっているようで
水のようにこぼれてはねては
空からなみだをこぼしてゆく
雪どけを恐れた日々のなかで
たのしげにわらう鳥のはねを
地獄から伸びた手が捕まえて
あさをゆうべへと切り換えた
海に流したボトルのメールが
何十万も僕の元へ届いている
非力な腕ではつかめないのに
首をやさしくしめあげている
せめてものこの花をかかえて
家へと還ることができればと
僕は目のまえの白く光る花に
暗号のような声でささやいた
洞窟のようにうす暗い景色は
まだ物語のはじまりなのだと
花は僕にやさしく語りかけて
不器用なほほえみを浮かべた
【後奏】
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