527112 / かずあき
命燃えるだけの冬吹き抜ける風
二分に満たぬ蕾
夜を灯したろうそく
待ちわびる春
雪さえ降った三月
亡骸を抱きしめ
伝えられなかったさよならを
冷たいままの風
いつもより少し遅い 春
遥か彼方の地平
見渡す先の蜃気楼
ゆらゆらと渇いて
海はそこにあった
海はいつものように
遠く 哀しみの潮騒が
はっきりと聞こえた
春はまだか
春になれば
花は咲くだろう
緑もゆるだろう
三月は
あまりにも長い
何もなくなった土地に
生えていた 雑草
吹き抜ける風
命燃えるだけの冬
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