407909 / koki
5遠くの空回る花の円陣の喧しさに
あの日やあの日に超えてきた分岐が目を覚ます
かげろうに身を借りて道を指す娘を追い
高台に現れた名も知らぬ広野は懐かしく
あれが夢で見せた街と影の声がささやいた
来る日も来る日も幾千の分岐を超えた時
暗がりの賢人が捨てられた日々を集め
海沿いに海沿いに見も知らぬ炎を躍らせた
ああマントルが饒舌に火を吹き上げて
捨てられた野に立つ人を祝うよ
ああ静かな静かな娘の視野で
ああ見知らぬ都に灯が灯りだす
高く空朱に染め火の燃えるごときの雲模様
あの日やあの日やあの時に無くした道を見せ
繰り返し夢に吹く風を追い時を下り
川沿いに川沿いに見も知らぬ至福の花を見た
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