354792 / Archilochus Tokiensis
暗渠のうた「私は川だった」
「私は水路だった」
乾いた街に雨が降る
トタン屋根の首府に
アスファルトの巷に
ドブが消えた都に
さようなら さようなら
川に歌う さようなら
水はどこへ流れるのか
生活の幸を祈れもせず
「私は今も川だ」
「私は今も水路だ」
おれはみつけた
水仙いろした泥の都
しとどに濡れた街の秘所
はねが ぬれるよ はくちょう
ああ 溢れ出す母音を
押しとどめるように蓋をされ
韻律がセメント漬けにされようと
暗渠は歌う おのれ自身を
だからきみも
路地裏では耳をすまし
まぼろしの水音と合唱せよ
おはよう おはよう
川は歌う おはよう
水は地下を流れてゆく
生活の幸を祈りながら
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