走れメロスメロスは激怒した。 必ず、じゃちぼうぎゃくの王を、 除かなければならぬと決意した。 メロスには政治がわからぬ。 メロスは、村の牧人である。 笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。 けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。 きょう未明メロスは村を出発し、 野を越え山越え、十里はなれた このシラクスの市にやって来た。 メロスには父も、母も無い。女房も無い。 十六の、内気な妹と二人暮しだ。 ♪
audio
■コメント追記は登録者のみ