326245 / かさね。
あるあついなつのひ窓を開けてベランダに出る。
暑い日差しとともに、
蝉の声が響いて来る。
家には誰もいない。
こんなに、静かだったのか、
忙しすぎて分からなかった。
毎日、毎日、
時間に追われてばかりで、気づかなかった。
蝉の合唱が、また始まる。
静か過ぎた部屋の中は、
時間が止まっているような、
錯覚を起こさせた。
あのうるさい時間に比べて
ここは、この部屋はまるで
どんな音でも響く空間のようだ。
なんでも響かせる、そんな感じの。
なんでも、
響かせる、
そんな、
感じの、
やっほー
時計の音が耳に響く。
静かに静かに、時を刻んでいく。
ふと外を見ると、
夕日がゆっくり沈んでいた
赤い光に照らされた町は
今度は夜に身を委ねる
さて、あのにぎやかな輪の中に
帰ろうか
こんなに静かで
寂しい夏の日は
ひさしぶりだった。
ある暑い夏の日の詩 |
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