310881 / venom
時流
幼き日の思い出はいつも鮮明で
喧騒の中でも輝きは尚変わらない.
狭いステージの上で伸び伸びと
仮初めの自由を踊って遊んでた
けれど,輝きは日を追うごとに燻んで
目の色の鮮やかさも失われていった
鉛色の空を仰いで,求めた夢よ
アスファルトの匂いが立ち込める
雨に打たれ,ぬかるんだ道を進む
旅する若者は,考えるほどに戸惑っている.
憎むべき悪は数知れずあるけれど
正義を果たす術はあまりに少ないと.
愛しいあの子を穢した刃に恨みを持っても
故郷を焼いた炎を憎んでも自分ではどうにもできず
振りかざした拳が水たまりを砕く
雲間から差し込む夕日に照らされ
叶わぬ正義に嘆いた若者はすべてを壊す
街を染めた悪を裁くためその手を黒く染めた
世界には終わりが迫るかもしれない,今,闇は広がる
残照に照らされた顔に光が一筋輝いた
後悔してもも戻れない闇に落ちたその若者は
悪を裁くがために自らも悪に落ちたと悟る
正義は高い壁の向こうで嘲笑う
降りしきる冷たい雨の向こう
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