306032 / サトシ
前車の轍を踏むなんて冬が来る度に
光熱費に肝を冷やす
肝を消して肝をつぶす
今宵も酒が進むのさ
忘れた頃に届く
車検の見積書
夜空を眺めて溜息ついて
今宵も酒が進むのさ
リストラ倒産続く
組織を捨てた男がひとり
死ぬか笑うかしからば笑おう
今宵も酒が進むのさ
世知辛い時代に
ただ息をしてるだけで
何故にこんなに窮屈なんだろう
今宵も酒が進むのさ
電気すとおぶを
垂れ流しても心は冷える
郵便受けの請求書を見るのもつらい
今宵も酒が進むのさ
雑務で出向く午後三時
泥濘んだ道に残したわだち
前車の轍を踏むなんて
今宵も酒が進むのさ
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