356477 / 鼻モゲラ大王
枕草子 清少納言春はあけぼの。
やうやう白くなりゆく山際
少し明かりて、紫だちたる
雲の細くたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり、
闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほかにうち光て
行くもをかし。雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと
近うなりたるに、
烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、
二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。
雪の降りたるは言ふべきにもあらず、
霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
火など急ぎおこして、
炭持て渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。
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