336224 / 氷鳥
空洞私とは空洞である
感情の一つも持たない機械仕掛けの人形
私とは空洞である
彼の行為の理由が私には理解できない
私とは空洞である
彼はニンゲンの男性である なのに
私とは空洞である
彼に訊ねてもわからない
転がり 注がれ 流す
転がり 注がれ 洗う
そんな単調な毎日
彼の手により私はニンゲンへ近づいてゆく
じり じり じり
私の手によりめくられたページは増えてゆく
ひら ひら ひら
でも心は理解できないまま
私はとある仕事を始めた
君と会うのは久しぶりです
君の微笑みに私も微笑み返す
君は頬染めた
私とは 何か 空洞
私とは 何か 空洞
使われない私は 何か
「好きだ」
君は告白し やけになって大笑いした
私にはわからない 答えが見つからない
だが君は一つだけ私にも答えられる問題をくれた
「私もだよ」
夜の公園で君は私に感情をぶつけた
なぜ なぜ なぜ
なぜ なぜ なぜ
「それがどうしたというんだい」
錯乱した君は繰り返す「ここから逃げよう」
「愛している」とも君は叫んだ。
「それはできないよ」私は優しく言った。
私とは空洞である
感情の一つも持たない機械仕掛けの人形
何故泣くの いつでも使っていいのに
彼の手により私はニンゲンへ近づいてゆく
じり じり じり
でも心は理解できないまま
でも愛は理解できないまま
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