305129 / 王里
HITO_と_KEMONO今日もまた、人ごみに紛れ。
今でも姿を、隠すんだ。
鏡さえも、知らなくて。
今でもボクが、見えてないでしょ。
帰宅後は、あの人が迎え。
この笑顔だけが、プレミアム。
そなただけが、知っている。
獣のボクが、見えているから。
あなたとの、思い出写真。
今でも、持ってるよ。
その時にくれた、ウロコの腕輪。
左腕に、はめているから。
今日もまた、人ごみに紛れ。
今でも姿を、隠すんだ。
カメラだって、知らなくて。
今でもボクが、映ってないね。
部屋に戻って、ボクは泣いた。
誰も見えてない、モンスターだけど。
あなただけは、分かるでしょ。
まことのボク、見ちゃったもんね。
そろそろ、行かなくちゃ。
部屋を出ると、あなたがいた。
ケモノは、どうすることもできず。
そのまま君に、泣きついた。
「またね」の言葉を、追うように。
あなたは、こう言ってくれたね。
「また来いよ」の一言が。
獣のこころ、癒すんだ。
今日もまた、人に紛れ。
またまた、姿を隠してる。
川ののどかな、音だけが。
あの人のもとへ |
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